ビジネスプロセスの定着に立ちはだかる障害

製造現場などでは、カイゼンのように、プロセスを可視化して改善を継続していくという考え方は定着している。企業の業績の差異は、当たり前のことをちゃんと実行できるかできないかである。
いわゆるホワイトカラーや知識集約型業務でも、ビジネスプロセス(業務手順)を文書化し、改善していくという試みは何度も行われてきたし、今後も行われることになる。ISO9000でも、日本版SOX法対応でも、EAでも本質は同じである。なのになぜ定着できないのであろうか。
企業において、イノベーションは生命線である。そのために社員がクリエイティブな視点を持つことも重要である。しかしながら、全ての業務に当てはまるわけでもないし、全ての社員に当てはまるわけでもない。ライン業務で求められるのは定着した業務プロセスに対する段階的イノベーション(改善活動)であり、マーケティングや設計で求められるのは非連続(交差的)イノベーションである。日本ではよく言われる平等の概念のためなのか、それぞれに求められていることが違うということを明確にはしない。ライン業務に従事している人たちが非連続イノベーションをやってみたいと思うことは企業にとってはマイナスであるだけでなく、ビジネスプロセスの定着を阻むことにつながっていく。自分はクリエイティブだから他の人と同じことをする必要はない。同じことをやることは官僚的だとか、大企業病だとか勝手に考えてしまう。
かつて企業では新しく社員が入社すると、現場の仕事に従事させてライン業務の重要性を体に染みこませていた。だから今はよくないと言っても始まらない。
ビジネスプロセスを文書化するだけでは、定着しにくいという状況では、ビジネスプロセスを情報システムのビジネスロジックとして組み込んでしまうことしか定着の道はない。日本のホワイトカラーの生産性は欧米に比べて低いという現状を冷静に受け止める必要がある。